財産の洗い出し
■財産の洗い出しとは
一口に財産といっても、預貯金、有価証券、不動産、ゴルフ会員権、電話加入権、引き出しの奥に仕舞われている様々な財産です。また、預貯金も通常は5つ程度の口座を保有されており、投資信託であれば証券会社に加えて銀行にも証券口座があります。これらを一つ一つ整理するだけでも一苦労でしょう。さらに、ゴルフ会員権や土地の権利証等財産を証明する書類も棚卸する必要があります。
■財産の洗い出しの効果
ご本人にその意思がない場合には、なかなか重い腰が上がりません。そんな重い腰を上げさせる説得材料は、”将来の相続税負担を軽減するため協力して欲しい”という気持ちでしょうか。
財産の洗い出しは、どこに何があるかという物理的な確認作業に加えて、登記簿謄本や権利証等の書面と実態との確認作業、土地の場合には隣地との境界確定の有無を指します。
預貯金は、昔勤務されていた場所近くに開設した口座や届出印がどれだか解らない口座を整理します。届出印が解らないケースは非常に多く見られますが、これを機会に銀行印は一つに統一しましょう。
■不動産の確認項目
固定資産税の『名寄せ台帳』と『権利証』と比較して、所有者名・地目・地積・所在地が一致しているかを確認します。いずれか一つでも一致していない場合には『全部事項証明書(登記簿謄本)』の交付を受けて、どちらが正しいか確認します。いずれにしても登記か固定資産台帳に齟齬があるので、この場合にはご相談下さい。
■不動産の権利証が見当たらない場合
仮に、権利証を紛失した場合でも所有権がなくなるわけではありません。従って、売却する必要が生ずるまでは権利証がなくとも問題は生じません。売却する場合には、保証書を作成して所有権に関する登記申請を行う必要があります。ただ、通常の所有権移転登記手続とは異なりますので、お近くの司法書士に登記作業を依頼されることをお勧めします。
■既に取り壊しした建物が、市区町村作成の名寄台帳に残っている場合
建物の滅失登記を行った場合には、法務局から市区町村へその旨の連絡があります。しかしながら、昭和40年代に建築された建物は登記されていないものが散見され、これらを取り壊した場合には市区町村へ取り壊しの情報が伝わりません。この結果、名寄せ台帳に残ったままとケースがあります。