ALIVE生前対策

遺言書の作成方法

2018/11/09
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■遺言書の作成ポイント
①ご親族への思いを付言事項に記す
ご親族全員が平等感を得られる相続は、なかなか実現できません。遺言者がどのような気持ちで遺言書を作成したかを伝えることによって、不公平感を少しでも減殺することができるかもしれません。

②遺言執行者を定める
遺言内容を円滑に進めるために遺言執行者を指定しましょう。「遺言執行者は、預貯金の解約、払戻、名義書換等の権限及びその他この遺言執行のために必要な一切の権限を有する」旨の条項を入れます。

③全ての財産を指定する
相続人間でもめないよう全ての財産を列挙して誰が相続するか明記します。

④遺留分を極力考慮する
遺言書の記載内容を不服とする原因の一つは、遺留分に満たない財産しか相続されないケースです。

⑤不動産は極力共有名義としない
後日相続人間で譲渡する手間と登記費用が発生するので共有名義は避けます。相続時に土地を分筆して所有者を1名とする方法もご検討下さい。

 

■遺言書作成の流れ
『自筆証書遺言』、『公正証書遺言』、『秘密証書遺言』のいずれも民法で規定する要件を充たす必要があります。遺言書作成は、当方と提携している弁護士と共に作成します。

①ご意向の確認
遺言書の作成目的やご意向をお伺いします。

②財産の確認
遺言書作成時点での『財産目録』を作成します。

③遺言の原案作成
遺言者のご意向に沿って各財産をどのように分けるか遺言書の原案を作成し、調整を加えます。

④遺言書の作成
『公正証書遺言』の場合は、遺言者に代わって公証役場との交渉や日程調整を行います。『自筆証書遺言』の場合は、原案を自筆にて遺言書を作成します。

⑤公証役場への提出
遺言者に同行して公証役場へ遺言書を提出します。

 

遺言書を作成した方が望ましい人とは?
■遺言書を作成した方がよい人とは?
将来相続財産を巡って、争族となることを予想している方は意外に少ないです。自分の家族に限ってそんなことはないと期待されているからでしょう。実際に、家族関係が複雑である場合に、遺言書の作成を提案しますが、なかなか首を縦に振って下さる方は少ないのが実情です。ご親族様から遺言書の作成をそれとなく促していくしか方法はないもんでしょうか。
ちなみに遺言書を作成した方がよい人は、次の通りです。

 

①子供や両親がいない夫婦で、全ての財産を妻に渡したい人
法定相続分で分ける場合には、妻3/4、夫の兄弟姉妹1/4の割合で分けることになります。仮に、遺言書ですべてを妻に渡すと記されている場合には、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言書の通り全財産を妻に残すことができます。

 

②再婚して先妻にも後妻にも子供がいる人
家族構成が複雑である場合には、遺産分割協議が円滑に行われないことも想定されます。争いを最小限に留めるためには、遺言書で誰が何を相続するか名記されている方が望ましいです。極力法定相続分を意識して分割方法をご検討下さい。せっかく遺言書が作成されていても、法定相続分が無視されていると結果として纏まらないこととなりかねません。

 

③相続人のうちに連絡が取り難い者がいる人
連絡が取り難い方が相続人にいますと、遺産分割協議が円滑に行われず、かつ意思疎通も図れない可能性が高くなります。結果として、相続税負担が重くなることも想定されます。連絡が取り難い相続人に極端に不利な分割案でなければ遺言書に従って分割を進めることができます。

 

④相続権のない人に財産を渡したい人
長年介護に従事した長男の嫁、相続人ではない孫、内縁の妻等の相続権のない人へ財産を渡す場合には、他の相続人が納得できる合理的な理由を付記事項で明記しましょう。

 

⑤特定の相続人へ余分に財産を渡したい人
相続財産の維持管理に重大な寄与があった長男や、介護に従事した長女へ余分に財産を渡したいと考えられている場合には、遺言書でその旨を明記されることをお奨めします。相続人間だけで話し合いの場を持ちますと、結局堂々巡りとなり特定の相続人に多く財産を渡すことは困難です。

 

⑥自営業者や営農者で子供に事業を継承してもらう人
事業の用に供している不動産や会社の株式は、事業を承継する者に引き継いでもらいたいものです。しかし、主たる財産がこれら事業用資産で構成されていると、他の相続人から強い反対を受けることは必須です。稼業を継いでくれる者へ厚くする代わりに、他の相続人へその気持ちを付言事項でお伝えすることが肝要です。

 

⑦障害を抱える子供を持つ人
障害を抱える子供へ余分に財産を渡すことは親の気持ちとしてはよく解ります。生命保険契約の保険金受取人に指名したり、生前贈与で預貯金を分け与えたり、遺言以外でも準備できることは複数あります。財産分与だけではなく、その後の財産管理を他の相続人に委ねることを明記するなど、具体的に何をして欲しいか伝える必要があります。

 

⑧相続人が誰もいない人
相続人がいない場合には、財産は国に帰属します。遺言書を作成することによって、お世話になった方々や非営利団体へ財産の一部でも渡すことが可能となります。

 

⑨公共事業や公益事業に貢献したい人
身寄りのない子供たち、赤十字社、教会、病院、非営利団体への寄付を考えられている方も遺言書へその旨を明記します。

 

⑩相続財産がマイホームや会社の株式だけで構成されている人
財産が限定されており、やむを得ず共有名義とするよりも1つの財産を1人の相続人に与えた方が将来のトラブルを回避できるケースもあります。居住用財産は、同居している相続人が引継ぐことが自然です。会社の株式は、事業を承継する者に引き継がせましょう。