遺言書とは
■遺言書の効力
『遺言書』の最大の効力は、被相続人の意思を反映ことができることです。法定相続人以外に財産を与える遺贈も『遺言書』の作成により可能となります。
民法上規定されている遺言の効力は次の通りです。
① 相続人の廃除及び廃除取消
② 相続分の指定及び指定の委託
③ 遺産分割方法の指定及び指定の委託、遺産分割禁止(5年を限度とする)
④ 遺贈(法定相続人以外に遺産を与えること)
⑤ 子の認知
⑥ 祭祀主催者の指定
⑦ 特別受益の持戻しの免除(3年以前に贈与した財産を相続財産に加算しない)
⑧ 相続人間の担保責任の定め
⑨ 遺言執行者の指定及び指定の委任等
⑩ 生命保険の保険金受取人の変更
⑪ 他の相続人の債権者により相続財産の差押えを未然に防ぐことができる
■遺言書の種類
①自筆証書遺言
遺言書の全文が遺言者の自筆で記述され、日付と氏名を自署し押印を要します。
遺言書の保管者は、相続の開始を知ったならば遅滞なく家庭裁判所へ提出して、その検認を請求しなければなりません。
②公正証書遺言
遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成します。
推定相続人・受遺者及びそれらの配偶者、直系血族以外から2名の証人を選任する必要があります。
証書の原本は公証人役場で保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。
公証人役場に訪問して作成する方法と公証人に出張してもらう方法とがあります。
保管方法や家庭裁判所の検認の手続きの煩雑さから『公正証書遺言』が多くなってきています。
③秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言内容を秘密にしたまま存在を公証人に証明してもらう遺言です。自分で署名捺印すればパソコンまたは代筆でもよく、捺印に使用した印鑑で封印する必要があります。公証人は証書提出日及び遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者及び証人2名と共に署名押印します。遺言書の保管者は、①と同様相続の開始を知った後に遅滞なく家庭裁判所へ提出して、その検認を請求しなければなりません。
当事務所では将来のトラブルを回避するため②の公正証書遺言をお奨めしています。
■遺言書の検認
①必要な書類
●申立書1通
●相続人全員の戸籍謄本各1通
●遺言者のお誕生からご逝去までの戸籍謄本及び改製原戸籍各1通
②行政罰
遺言書を家庭裁判所に提出せずに、検認を経ないで遺言を執行した場合や家庭裁判所外で開封した場合には、5万円以下の過料が科せられます。
遺言自体は無効になりませんが、行政罰を受けることとなります。